
第32話:壁パネルスタート と いきなりの・・
土台も敷き終わり、いよいよ念願の壁パネル施工の日がやってきました。
その日は、「木製サッシ壁パネル」も「厚壁断熱パネル」も設置予定だったので、見学の方が多く来ました。
朝の6時には既にパネル工場から壁パネルを大量に積んだトラックが現場に来ておりました。
出勤ラッシュの時間帯を避けての到着のようです。
朝の7時過ぎには青森から見学の第1団体が到着し、いよいよ大実験施工がスタートする高揚感を持ちました。
記念する実験パネルのスタートは、いきなり木製サッシパネルです!。
木製サッシが重すぎるため、土台まで一体化した発案パネルです。
200㎏を超える木製サッシパネルを見事に吊り上げます。
「これを現場で移動しながら設置していたら大変だなぁ」
「パネル化だとクレーンで出来るのでよかったよかった」
(ただ・・このパネルが落ちた瞬間に100万円は吹っ飛びます(--;))
パネルを基礎の上に設置して・・
ところが・・ここでいきなりの問題発生・・
パネルが・・はまらない・・(@@;)
「なんで」・・
現場に緊張感が走りました。
見に来ている人にも、大工さんにも、そして私にも緊張感が走りました。
パネルを設置する前に思い描いてたのは・・、『 壁パネルが思い通りどんどんはまっていき、木製サッシパネルの部分は、わずか10分程度で完成!』・・とイメージしていたのですが、見学者の前でいきなりのつまずきです(><)。
ある程度パネルとパネルを噛ませてから、かけや(大きなハンマー)で叩いてもパネルが納まりません。
右往左往している中が、壁パネルがもし倒れたら・・200kg超えのパネルですので、大けがする可能性もあります。
下手をすると死亡事故にもなりかねません・・(><)
何度か別の方法でも試してみたのですが、うまく入らず最悪の「初日スタートから終了」・・
・・も覚悟しました(--;)
しかし、場数を踏んでいるだけあり、T大工さんは冷静に慌てる素振りは見せません。
もちろん、こんな時こそ慌てるとロクなことがないのは私も経験しています。
「なんでハマらないのか、ちょっとスケールでいろいろと測ってみよう。」
そう言ってT大工さんは、土台の長さやサッシパネルの長さ・高さを落ち着いた素振りで測ります。
1台1台のパネルの精度や土台の長さには大きな問題はない・・。
基礎天端の問題か?
墨出しの問題か?
いろいろ検討した結果。
土台の1本1本の長さが微妙に伸びたことの蓄積だとわかりました。
今回の実験住宅は、パッシブソーラーを目指して東西方向に長い設計になりました。
東西に18mもある設計のため、仮に3~4m土台が6本並ぶとします。
1本が0.5㎜伸びてたとしますと、6本で3㎜寸法が違ってくることになります。
東西の端から土台を固定していくと、木製サッシが付く壁パネルの部分で、それらの蓄積の合計分3㎜・・わずか3㎜の差で土台がはまらないのです。
議論した結果、土台全体を締め直すのではなく、片側の土台を切っても大きな影響がないことがわかりましたので、ゆとりをみて6㎜ほど切り落とすことを決めました。
現場とは工場生産とは違い、いろいろとハプニングはつきものですが、久々に冷っとするハプニングでした。
スタートからこれでは思いやられる・・という思いと、その現場調整でうまく木製サッシパネルが納まったことで拍手が起き、いろいろ起きても前に進めるぞ・・というポジティブ感と混ざり合った不思議な感じになりました。
この木製サッシパネルを納めるのに費やした時間は1時間半・・。
それでも、きれいに納まって安堵したのが一番の心境でした(^^;)。
さあ、ここからはガンガン行くぞ!
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第31話:土台敷きスタート:シロアリとホウ酸
予定より1週間ずれましたが、流れとしては悪くないという感覚をもっていよいよ土台敷きとなりました。
最初の作業は 土台気密パッキン+土台敷き+床合板の設置です。
現場には、そのための「土台」「プレカットされた床合板」「大工さんが作った屋根パネル」が揃っていました。
(山積みされた屋根パネル)
(プレカットされた床下地合板)
今回はなるべく岩手県産材を使おうという目的もあり、土台にはカラマツ集成材を使いました。
カラマツ集成にホウ酸を噴霧するという手法です。
米ヒバをよく使っていますが、今回は集成材でないとまずいという事情と、米ヒバが入手が難しいタイミングなども今後あることが予想されるので、
そういう場面を想定して今回はあえて岩手県産材カラマツ集成材+ホウ酸で施工します。
ホウ酸とシロアリについて少しだけ記述いたします(詳しくは近日別ページでアップします)。
いろいろと勉強会に参加してみて、私は現時点ではホウ酸でシロアリ対策することをお勧めしております。
私がホウ酸を一番いいと思っている理由は下記の点です。
① 昨今の構造材に塗るオレンジ色の薬品は、人体に影響が少ないように毒性を弱めているため、以前は10年保証だったものが5年保証・3年保証・・・と徐々に期間が短くなってきています。裏を返すと、5年後には毒性がシロアリに対抗できないという意味ですので、これから30年以上暮らしていく家にはどうなのか・・という疑問点があります。また、周辺土壌に毒素を撒くのにも抵抗はあります。
② セミナーの中でなるほどと思った言葉があります。
毒で虫を殺そうとした場合、虫も耐性を持つことが考えられます。耐性が出来れば、その毒はシロアリに対して無毒になります。
ホウ酸は、毒ではないので耐性ができません。ホウ酸ダンゴが江戸時代からあるのは、それを立証しているようなものです。
③ ホウ酸を耐シロアリ材料に認定していなかったのは世界中で日本だけです。ようやく数年前に認可がおりましたが、世界中でシロアリの一番手に上げられるのはホウ酸だそうです。ハワイだかニュージーランドだかでは、ホウ酸にどぶ付けした木材以外は使用してはダメというほど、ホウ酸が世界のスタンダードなのだそうです。
(セミナーの話で申し訳ございません)
④ ホウ酸は哺乳類が飲むと尿として排出されます。昆虫が飲むと排出できず、結果として代謝が止まって死ぬというメカニズムなのだそうです。つまりは、毒ではないのです。
こんな知識と、最近は15年保証も出てきているので、「無毒」+「半永久的」という観点からホウ酸が一番と思っております。15年保証を付けるということは、メーカーは安全率を見て保証期間を決めるはずですので、基本的には半永久的だと思っております。
※ 15年保証を取る場合は専門業者にホウ酸施工を依頼する必要があります。
皆さんも大切な家ですので、5年保証の毒性素材よりは、半永久的なホウ酸を、建築依頼する住宅会社さんにお願いしてはいかがでしょうか。
東京からホウ酸施工は広がってきてますが、現在では宮城県でも岩手県でも施工業者がいます。
( 岩手県内のお問合せ先 : 東北住建㈱ 担当:瀬川 019-638-4111 )
アメリカ乾材シロアリにも効くそうですので(昆虫全部なので当たり前ですが)、私はお勧めです。
ちなみに、最近では常識になってますが寒冷地といえ岩手県にもシロアリはいます。
下の写真は当社のOBさま宅で被害にあったときの写真です。
(現時点では当社は1件だけです。)
当時、基礎断熱材に防蟻性のものが出ておらず、シロアリは懸念されておりました。
そのため、当社では基礎断熱の地面より下には、一応、ダイライトをテーピングして貼る・・という気を使った施工をしておりました。
(地面よりちょっとだけ見えているのは、シロアリが食べないボード ダイライトです)
ここまで気を使って施工する会社は無かったと思いますが、相手は虫ですので、どんな隙間からでも入ってきます。
(ちなみに、基礎の内側に断熱材を張るのでシロアリ対策品でなくても大丈夫・・という言葉は信じない方が良いと思います。)
そして、シロアリの面白い行動は、食べたくない米ヒバの土台は蟻道を作って迂回するのです。
そして、食べやすい柱を食べます(><)。
(土台は食べられず)
建築して7年目でしたので、仮に5年保証の薬品を塗っていても被害はあったと思います。
また、下の写真は、私が今住んでいる貸家(岩手県北上市)の庭先に置いてあった木を裏返したときの写真です。
見事にシロアリさんに食べられていました(^^;)
こんなこともありますので、寒冷地と言え、シロアリ対策はきちんとしていた方が良いと思います。
*****************
土台を敷いて、床合板を敷く前に家族総出でホウ酸水を噴霧していきました(^^)
最後はきちんとプロにやってもらうのですが、家族も家づくりに参加したという記憶を残すためです。
<シロアリとホウ酸について:後日別サイトにアップします>
そして床合板を敷き終え、いよいよ、明日からの壁パネル施工へと進んでいくのでした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第30話:T大工さんからの電話
T大工さん 「白鳥さん。悪ィ。建て方1週間ずらしてくれ!」
大工さんから来た電話の開口一番のこの言葉に私はびっくりしました。
私 「え!?・・どうしたんですか?」
T大工さん 「おふくろが死んだ」
私「え...」
T大工さん 「実は、もってあと10日~2週間かな・・という状況だったんだ。
建て方終わったら、屋根板までかけて雨が入らないように囲った状態で何日か休みをもやおうと思っていたし、
下手をすると建て方中に建て方をストップするかもしれないと心配はしていたんだ。」
私 「そうだったんですか...。」
T大工さん 「今、病院から電話があって、急に亡くなったと連絡が入ったんだ。
実は、今日の昼間も会ってきたんだよね。」
私 「そうだったんですか。まずは分かりました。1週間ずらす手配を掛けます。
お通夜や告別式の日程と場所をあとで教えてくださいね。」
T大工さん「悪いね」
私「いえいえ。あとでゆっくりお話ししますが、救われた感じがします。
それではまずバタバタしているでしょうから...。」
電話を切った私は不思議な感覚になっていました。
まずはパネル工場のSさんに電話して事情を説明しながら、1週間延びることになったので、「厚壁パネルに再挑戦」の方向で決まりました。
そして、フェイスブックやメールやFAXで「建て方を1週間スライドする」ことを連絡しました。
事情は、もちろん大工さんの身内にご不幸があったということです。
お通夜の会食の時、T大工さんとゆっくり話をしました。
T大工さんのお母さんは年齢的に大往生であったこともそのとき知りました。
その中で私からは、1週間建て方がずれたことで救われたことを、今までの経緯も含めて裏事情を話しました。
T大工さんからは、建て方中に亡くなったらまずいなぁ・・と冷や冷やしていたことなど、どのタイミングで亡くなったらこうしよう・・と想定していたことの話をされました。
うまく表現できませんが、
T大工さんのお母さんは、最後の最後までT大工さんや私を助けてくれる
このタイミングで天寿をまっとうなさったのかな・・
という不思議な感覚を2人で話していました。
私も人生の最後は、最後の瞬間まで誰かのためになる形がいいなぁと思うのでした。
T大工さんのお母さん...長い人生お疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。
つづく
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第29話:壁パネル化実験と不思議な30分間
建て方が徐々に近づいているころ、この実験ハウスでは建て方の方法についても新しい実験を計画しておりました。
それは、分厚い断熱壁の「大型パネル化」です。
300㎜断熱という超高断熱住宅で、壁をパネル化して現場の工数を減らせないかという挑戦です。
この壁パネル化の主な目的は下記のような点です。
① 付加断熱をするようになってから、時々お客様に「なかなか外壁工事になりませんね」と言われます。
大工さんの視点から見ますと、家2軒分の断熱をするので手間が掛かるのは仕方がないとなるのですが、多くのハウスメーカーさんは建て方が終わると、すぐに外壁施工を始めるため、比較するとやはり進みが悪いように見えます。
その点の解決策にならないか・・。
② トリプルガラスになってからサッシが非常に重く、2階に大型サッシがあるとそれを持ち上げるだけで重労働となってきています。それを壁パネル化してサッシを組み込むことで、現場の重労働を軽減できないか・・。
③ 今回は、大型木製サッシを4台設置します。そのサッシの重さが一窓=200kg超もあります(@@;)。
そんなサッシを現場で施工するのは非常に重労働になるため、この木製サッシをパネル化することは現場の安全面と現場スピードからも必須と考えました。
④ そして、200㎜付加断熱(300㎜断熱)のパネル化の可能性を探ろうという目的もあります。
こんないろいろな目的がある実験だったので、基礎工事中にパネル化の詳細図面と工場との打ち合わせを重ねておりました。
(壁パネル製作の様子:90㎜付加断熱時)
そして、建て方2週間前には壁パネル製作も始まり、新住協のメンバーや業界新聞社も含めて多くの方々に建て方時の予定表を配信していました。
○月○日 土台式 ・ ○月○日1階壁パネル設置 ・ ○月○日2階壁パネル設置 ・ 見ごたえのある日は〇月〇日 など・・取材に適した日程まで書き込んで連絡済でした。
銘打ったのは「300㎜断熱の大型パネル化」に挑戦です。
(大型パネル化のために作図した図面の一部)
全ての手は打った・・と思い、時々パネルの進捗を見に行ったり、大工さんと建て方後の作業について詳細打ち合わせをしていました。
そんな建て方開始10日前でした。
夜8時ころだったと思います。
突然、予想もしなかった電話が入りました。
パネル工場からでした。
パネル工場担当Sさん 「白鳥さん・・。すみません。建て方を1週間ずらしていただけませんか・・。厚壁パネルが予想以上に時間が掛かることがわかり、とても建て方に間に合いません。」
私 「え!・・。それは困ったなぁ・・。もう、メールでもフェイスブックでもたくさんの人や報道関係の人にも作業工程表を送ってしまっているんですよ。クレーンも日程をおさえてますし・・、その後のソーラー作業の日程もおさえてあるんですよ・・。」
Sさん 「厚い付加断熱下地の無いパネルであれば間に合いますが、どうしても付加断熱部分の作業が、90㎜厚のときと比べて200㎜厚でこんなに作業性が違うのかと思うほど時間が掛かるのです。木製サッシを組み込むのも予想以上に大変ですし。」
私 「困ったなぁ・・。あまりにも多くの人に告知してしまったので、いまさら『パネルが間に合わないから1週間ずらします』って格好悪いなぁ・・。」
Sさん 「付加断熱下地なしで進めますか・・。」
私 「それもそれで、『せっかく厚い断熱パネルを期待して見に来たのに』 となりそうだなぁ・・・」
Sさん 「困りましたねエ・・」
私は、既に告知した作業日程を優先して付加断熱下地なしの普通壁パネルにするか...、
厚壁パネル実験のために日程をずらすか...
悩みに悩みました。
一度電話を切って、T大工さんにメールをしました。
私のメール 「付加断熱下地・・パネル化しないで現場作業でいいですか?」
T大工さんのメール 「いいよ」
私は、多くの人の予定を変更するには大義名分が無さすぎると判断し、厚壁実験をやめて普通の壁パネルで建て方することを選択しました。
これで、新聞取材の意味もなくなり話題性の乏しい建て方になるのは決まり、わざわざ見に来る人にとっても、見る意味の少ない建て方になることは明白でした。
私はパネル工場担当のSさんに電話しました。
私 「厚壁パネルをやめましょう...。とても、パネルが間に合わないから建て方を1週間ずらします...とは言えないほど、いろいろな段取りをしてしまっているので・・。」
Sさん 「申し訳ございません...。それでは明日から、普通パネルで作業を進めます。」
私は電話を切った後、心の中で「がーーーン(--;)」と呟いていました。
私の心の中「せっかくあれだけパネル図を作って、打ち合わせも重ねてきたのに、ほぼ無駄になってしまった・・(--;)
この家づくり・・流れがいいのか 悪い流れに乗っているのか 判断に困ることが多いなぁ・・。どっかで大きな落とし穴があるのかなぁ・・」と心配する気持ちでモヤモヤしていました。
土地探しからの流れはいいと思えば、パッシブハウス認定はギリギリで足元をすくわれ断念。
何かが引っ掛った気持ちになり・・、しかし、そのおかげで暮らしやすいプランに急変し「怪我の功名」と思えるようになりました。
基礎工事中はギリギリで新しい実験工事が間に合ったかと思えば、せっかくの厚壁実験はギリギリでNGとなる・・。
私は、人生の流れが変わることだけを恐れています。
いい流れなのか悪い流れなのか判断できないこれらの二転三転の出来事に「どういう流れなんだ」・・と自問自答して家づくりは進むのでした。
家づくりは、現場の状況で図面からの調整が必要になることはしばしばあります。自由設計で、なるべくお客様のご要望に「無理です」と言わない家づくりを進めているので、そういう現象が起きます。それが「怪我の功名」と思えると安堵し、そう思えないとストレスがたまるものだなぁ・・・と自分の家づくりを通して感じます。
私の場合は、最後は、「人間万事塞翁が馬」という哲学を持っているので、その起きた現象から何かプラスになる要素を見つけようとします。
しかし・・今回の厚壁パネルの施工実験断念はモヤモヤ感が強いものでした。
そんなパネル工場担当のSさんと30分間の悶々とした電話のやり取りのあとでした。
T大工さんから突然電話が入りました(おおよそ夜8時30分)
それも、つい先ほどの電話内容よりも、はるかにびっくりするような電話内容だったのです。
T大工さん 「白鳥さん。わりィ(><)。建て方1週間ずらしてくれ!」
つづく
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第28話:20年前の約束
基礎工事もギリギリに変更を繰り返しながらも、なんとか「実験工事」・「測定センサー設置」も含めて完成しました。
基礎は終わりましたが、木工事開始まで1か月ちょっと空きます。
理由は、今回の木工事は当初から大工さんが決まっていたからです。
担当大工さんがいつから決まっていたのかと言いますと・・、
20年前からです。
20年前、私はN建設に勤務するペーペーでした。
もちろん、その当時から断熱気密については、勉強しながら知識を増やしておりました。
そして、その大工さん(T大工さん)は、N建設ではなく別のハウスメーカーに所属する大工さんでした。
何故、そんな別のハウスメーカーに所属するT大工さんと接点があったのかといいますと、N建設の物件が重なったときに大工さんが不足してしまい、そのハウスメーカーさんから助っ人として一時的にお借りしたのでした。
N建設時代・・、私の記憶では、T大工さんと現場を一緒にしたのは、その1物件だけだったと思います。
その現場を進めている間のお互いの印象はこんなものだったと思います。
(私のT大工さんに対する印象)
〇 難しい仕事でも丁寧にこなして、自信満々でありながら低姿勢な大工さんだなぁ・・。自分の意見をどんどん言う大工さん。
(T大工さんの私に対する印象:あとで聞いた話)
〇 普通は、自分(T大工さん)が「こうしたほうがいい。こんな感じで施工する」と意見をいうと、ほとんどの現場監督は「はい。お任せします」と言う。
こいつ(私)は、まだ若いくせに「それはお任せします。でも、これは断熱の観点から、こういう感じで施工してください。」と自分の意見を持ってくる。
その割には、下請け業者に対して偉そうにしない。
〇 現場のごみ運びや、雑作業など、普通の現場監督が嫌がる作業も気にしないでやっている。
こんな感じです。
そんな現場での木工事は、きれいに施工したいT大工さんの意見と、断熱理論をきちんとしたい私の意見をすり合わせながら、がっぷりよつで進んでいきました。
終盤にはこんな会話が出るほど、私とT大工さんは仲が良くなっていました。
T大工さん 「白鳥さんは、いずれ独立するタイプだな。」
私 「え?俺が独立するんですか・・? 今のところはイメージが出来てませんね。」
T大工さん 「間違いなく独立する。」
私 「いつか独立したいなぁ・・という思いはありますが・・」
T大工さん 「そのときは、俺が手伝ってやるから声かけて。この現場終わっても、俺の現場にちょこちょこ仕事を見に来てよ。俺の仕事ぶりが分かるから。」
私 「見に行っていいんですか?それじゃ、面白い現場があったとき一度ご連絡いただけませんか!」
T大工さん「それと白鳥さんが自宅を建てるとき俺がやってやるから。」
私「ホントですか!?それはお願いしますね!。」
その当時は、仙台から150kmも離れた岩手に来るとは夢にも思っておらず、仙台のどっかに家を建てるのだろう・・と思っていました。
T大工さんとは、その後、仕事を一緒にすることは無かったですが、T大工さんがやっている某ハウスメーカーさんの現場を見に行ってその腕の良さをますます知ることになったり、断熱施工的な意見交換をしたりする機会があり、なんとなくつながっていました。
たった1つの現場をいっしょにやっただけで「白鳥さんは絶対に独立する」と言い切ったT大工さんは見る目があったということなのでしょう。今思えば、すごいです(^^;)。
そして、私が本当に独立するときも相談したりして、独立後、本当に私の現場を手伝ってくれるようになりました。
独立して約13年も経ちました。
ようやく自宅を建てる機運が高まり、そんな我が家の家づくりの約束をしたのは約20年前・・。
私「我が家の木工事に、岩手まで来れますか(^^;)?」
T大工さん 「仕方ないなぁ・・。20年前の約束だから・・。」
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第27話:地中熱利用 「ヒートポンプ」って何?
この実験住宅には地中熱を利用するため地面に深さ100mの穴を1本掘っています(ボーリングにて)。
【 サンポットのカタログのイメージ図です。 】
深さ100mというと図にするとこんな感じです(長っ・・(@@;)
その100mの穴に液体を循環させるパイピングをして「暖房」や「融雪」・・、
そして、なんと「冷房」にも地中熱を使います。
言葉にするのは簡単です。
でも・・、「暖房」や「融雪」に熱を利用するとすれば、それは「50℃~80℃」の熱が必要になります。
地中の熱はせいぜい10数℃です。
地中の熱が10数℃なのに、どうやって50~80℃の熱になるのでしょうか・・。
それが 『 ヒートポンプ 』です。
<<< ヒートポンプを少し理解してみましょう >>>
① まずは「物質」で考えてみましょう。
丘の上に「池A」があるとします。丘の下の方に「池B」があるとします。
雨が降ると「池A」の水はあふれて、小川を通って下の方にある「池B」に水が流れます。
このように、物質は「高いところから低いところ」に移動します。
しかし、何らかの事情で「池B」の水を「池A」に送りたいと思ったとき、どうすればいいでしょう?
そうです。ポンプを使うのです。
ポンプを使えば水は「低いとことから高いところ」に移動します。
② 今度は「熱」について考えてみましょう。
中央を断熱ドアで仕切った2つの部屋があります。
左の部屋の室温は30℃とします。右の部屋の温度は10℃とします。
その状態で、断熱ドアを開けると、
左の30℃の部屋から右の10℃の部屋に「熱」が移動して同じ温度になろうとします。
これを先ほどの丘の図にすると、熱も「高いところから低いところ」へ移動しているということになります。
しかし、「地中熱」や「空気熱」のようにちょっと低い温度では、そのまま生活熱には使えません。
『少し低い温度の池』から室内の「暖房」や「給湯」に使える『高い温度の池』に
熱を何とか移動させないとなりません。
それをするのが「ヒートポンプ」なのです。
そうなのです。
熱も物質と同じようにポンプを使えば、低いところから高いところへ移動できるのです。
もう少し具体的に言いますと、
10℃の水を「何らかの方法」で50℃に変化できると・・、
20℃を必要としている暖房に使えます。
40℃を必要としているお風呂に使えます。
・・ということなのです。
なんとなくヒートポンプのイメージが出来てきましたでしょうか。
「何らかの方法」とは何でしょう・・。それは物質の「圧縮」です。
空気でも水でも、圧縮すると熱が上がります。
人間の力で圧縮する程度では大きな温度上昇は感じませんが、機械の力で圧縮すると温度がかなり上がるという仕組みです。
外気温‐5℃~‐10℃の空気から熱を汲み上げる方法を「空気熱ヒートポンプ」と呼び、10数℃の地中を通して10数℃になった液体を圧縮して熱を汲み上げる方法を「地中熱ヒートポンプ」と呼びます。
もちろん、少しでも高い温度の物質を圧縮するほうが、より安定した高い熱に変化できます。そのため地中熱のほうが効率は良いということになります。
「物質」や「熱」は、自然の法則として、高いところから低いところへスムーズに流れます。
でも、なぜか「お金」は 高いところから低いところへスムーズには流れません(^^;)
蛇足でした・・(--;)
この地面に100mも掘っていろいろと調査・実験しています。
測定結果は、のちのち考察&公開していきますのでご期待ください(^^)
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第26話:基礎工事中の慌ただしい変更
基礎が進行しているのと並行に新しいソーラー集熱の実験の打ち合わせが進んでいたため本当にギリギリでの基礎変更が多くありました(--;)。
① 排熱貫通孔の設置
基礎の立ち上がりをソーラー集熱の配管が通ることになったため、貫通するパイプを事前に設置することが必要になりました(下図の赤丸部分です)。
コンクリート工事の後に直径20㎝もの大きな孔を空けるのは非常に大変な作業になるので、断熱型枠を施工するギリギリの段階で貫通パイプの設置が行われました。
もし、下の写真のようにコンクリートを流し込んで固まった後ですと、ほぼアウトだったギリギリの変更でした(><)
次に玄関土間を挟んで東側の蓄熱層に温風を送るダクトも、
玄関土間のコンクリートを施工する前に設置しないと完全にアウトの工事でした(下図の青丸部分)。
断熱ダクトで巻いて、その後ここは砕石とコンクリートでかさ上げを行いました。
② 蓄熱層の施工
ソーラー集熱を蓄熱するため、「型枠ブロック」と呼ばれるものを設置することが決まりました。
その設置の様子が下の写真です。
蓄熱ブロック施工後、鎌田先生や他の研究者の方も確認に来ていただいて次の指示を受けました(^^)。
③ 融雪配管の施工
最後にウッドデッキにする予定だった部分をタイルテラスにして、かつ融雪実験の配管をするというまさに綱渡りのような変更工事でした(^^;)
どの作業もタイミングが悪ければ実験そのものがアウトになり兼ねない非常にヒヤヒヤの変更工事が続きました(><)
ギリギリで何とか進んでいることに、「いい流れなんだ」と
ポジティブに考えることで前に進んでいる印象でした(^^;)
基礎屋さんも「半分苦笑い」「半分ぼやき」のような感じで工事は何とか進んでいきました。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
今回は 温湿度バランスについてちょっと知識を持ってみましょう。
簡単な勉強です(^^;)
下の図-①は温湿度を見る表です。
【 図-① 】
ちょっと見づらいですので、少し色を付けてみましょう。
図-② をご覧ください。
少し斜めに引いたオレンジの線が室温の 20℃ 25℃ 30℃ です。
そして 曲線が湿度を表してまして、緑が湿度50% 黄色が湿度40% 青が湿度30% を示します。
【 図-② 】
木の香の家の最近の家づくりでは湿度バランスが取れて来て、
★マークの 温度21度前後 湿度50%前後 で暮らしている方が多いです。
いわゆる「適温・敵湿度」です【 図-③ 】。
【 図-③ 】
その絶対水蒸気量を変えずに室温が30℃まで上がると・・
なんと・・湿度は30%を切ってきます 【 図-④ 】。
これは乾燥状態になります・・(><)。
その乾燥感を無くすには、温度上昇を過剰にしないか水蒸気量を増やすか・・など
いろいろ工夫が必要になります。
このように空気とはバランスをとるのが非常に難しく、
今回はソーラー集熱をしながら、この乾燥状態を何とか無くしたいという
実は、かなり難しいチャレンジをしようとしているのです(><)
うまくいったらすごいです!
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第24話:エコテクノルーフでのチャレンジ-その②-「 ソーラー集熱 + 非乾燥感 」
エコテクノルーフによる「融雪実験」と「雪が落ちた場合の対策」について方向性が決まりました。
次は、私が気になっている項目について議論がなされました。
それは「ソーラー集熱は過乾燥にならないのか...?」ということです。
ソーラーパネルの裏面の温まった空気を使うソーラー集熱(ソーラー集熱部分の名称は「そよルーフ」)は、太陽のエネルギーを無駄なく利用するという点では素晴らしいといえます。
気になっているのは、ソーラー集熱された空気がどれくらい温まって、それによる乾燥感が起こらないのか・・という点です。
(現在の高断熱高気密住宅と呼ばれる家づくりは、多くのハウスメーカーさんの住宅では冬の乾燥感がすごい状況です。
ほとんどの営業マンがそれについて説明をしませんが、質問すれば重い口を開いて「冬は乾燥します」と言い切ると思います。
そのため、乾燥感のあることが一般的なので、ダメなシステムというわけではありません。・・ということを付け加えておきます。)
ただ、木の香の家では長い試行錯誤の結果、冬期間にようやく乾燥感の少ない湿度45%~60%くらいをキープできるような住環境にできています。
いわゆる、「適温+適湿度」で暮らせるようにコントロールできているのです。
それを、「社長の家は乾燥感がすごいです」・・とは言いたくないという事情があります。
もちろん、私自身も乾燥感のキツイ家には暮らしたくないという思いもあるためです。
**********************
私 「ソーラー集熱の場合、最高で何℃くらいの空気が何m3くらい入ってくると予想しますか?」
K社さん「最高ですと、60℃くらいの空気が500m3/hくらい入ってくると思います。」
私 「500m3っていったら、家の気積と同じじゃないですか...。しかも、レンジフード2台分の風量ですか...。すごくないですか?」
K社さん「500m3/hといっても一時的な風量であり、供給されればまたソーラー内部の集熱温度は下がりますし、供給量も下がります。」
私 「湿度何%くらいのが入ってくるんですか?」
K社さん「温度は50~60℃で、湿度2~3%くらいです」
私 「え!そんな乾燥空気が入ってくるんですか!?・・・。 家の中、過乾燥にならないんですか?
今まで、OMソーラーさんの家って乾燥してないんですか?」
K社さん 「そうですねぇ。加湿器は手放せないと思います。」
私 「えぇ...それはやだなぁ...。せっかく『乾燥感の無い家づくりなんですよ!』って自信持っているのに、乾燥感が出ると会社としてちょっと嫌ですねぇ・・」
私 「熱だけもらって、残った乾燥空気・・捨てられませんかねぇ・・」
**********************
ソーラー集熱の場合、一般的には集熱効果を最大限引き出すために、集熱した空気は床下にそのまま供給します。
そこから、室内に送り込まれて家が温まるという考え方です。
もちろんこの方が集熱エネルギーを無駄なく利用できます。
あとは乾燥感という環境をどうするか・・という課題だけです。
繰り返しになりますが、ほとんどのハウスメーカーさんの住宅は乾燥するので、その乾燥感が「課題」というとらえ方もあれば、「一般的(普通)」というとらえ方もあります。
一般的と考えれば気にしなくていいことなのです。
ただ、今回の住宅は断熱性能がいつも以上に高いため、そこまでの熱を供給されると、室温が真冬でも30度超えをしてしまって、いわゆるオーバーヒートになってしまうのでは・・という恐れも考えられるのです。
この点について、先生・Iさん・K社さん含めて、いろいろな方法を議論しました。
いろいろな案が出されました。
最終的に 鎌田先生 と Iさん が いろいろなアイデアを出してくださり、次のような実験を行うことになりました。
テーマ 【 乾燥感の少ないソーラー集熱 】
実験手法① : 床下に蓄熱体を設けて、ソーラー集熱空気は断熱ダクトでそこまでもっていく。
実験方法② : 蓄熱体に熱を貯め込んで、余った空気は外部に捨てる(少しもったいない気分)。
実験方法③ : 夜間はその蓄熱体にたまった熱を室内に供給する
という実験理論です。
図にすると下図のようになります。
具体的な詳細図面でお見せしますと下図のようになります。
ここでひらめき発生!
私 「そうだ・・!。どうせ外部に捨てるのであれば、
その排熱をテラスタイルの先端を通して融雪に利用しませんか?
そうすれば、集熱エネルギーを最大限利用したことになりますし・・。」
Iさん 「それはうまくいかないんじゃないかなぁ・・」
鎌田先生 「意外とうまくいくかもよ・・」
実験とはこういうもので、研究者2人の意見が分かれるほど予想しづらいものです。
ただ、研究者の方の頭脳の深さは単なる当てずっぽうの予想ではないところがすごいです。
「失敗するなら、こういう空気の流れによる原因が考えられる」...とか、
「もしそうなったら、次はこういう工夫をすればうまくいくかもしれない」...というような、
失敗する場合の想定と、そうなった場合の想定もイメージしながら話すのです。
最後には、「失敗しても白鳥の家だから大丈夫だ・・」というオチもついてました(^^;)。
「乾燥感の少ないソーラー集熱」 への実験理論は決まりました。
できれば「乾燥感の無いソーラー集熱」と呼べるようにしたい、という期待もあります。
そういう空気環境バランスがとれるかどうか・・。非常にワクワクするポジティブな気持ちとドキドキするネガティブな気持ちの両方を抱くようなチャレンジでもあります。
次は、その蓄熱体をどういう「素材」にするか・・その蓄熱体にどういう方法で「空気を供給」すると蓄熱効果が最大限発揮できるか・・という点について、いろいろと議論がされました。
基礎工事進行中のため、本当に慌ただしい議論になりました。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第23話:エコテクノルーフでのチャレンジ-その①-
ソーラーは三位一体ソーラーパネル(ソーラー発電+ソーラー集熱・実験的にソーラー給湯をプラス)で決まりました。以後、商品名「エコテクノルーフ」で記述いたします。
それがそのまま屋根仕上げ材なので、屋根も一体となり四位一体でしょうか(^^;)。
そして基礎工事もスタートしました。
6月の梅雨入りと同時に基礎はスタート・・(^^;)。基礎としては最も嫌な時期とされてますが、大丈夫!大丈夫(^^;)!
基礎工事スタート直後に、エコテクノルーフについて実験内容や施工方法の打ち合わせが持たれました。
その会議の問答の中で、着手中の基礎の仕様変更も出てくることになるのです。
単純にソーラーと思いましたが、その中には「面白い実験内容」と「わずかなリスク」もあり、私からの要望も入れて問答をしました。
それらをご紹介いたします。
実験①:屋根角度3寸勾配で雪が滑り落ちるのか?
今回の実験住宅は3寸勾配(10:3)です。
本当はデザイン的にもう少し緩く・・、2.5寸勾配(10:2.5)にしたかったところなのですが、
パッシブハウス認定を目指す過程で3寸勾配となったためです。
ソーラーにとっては少しでも急勾配のほうが真冬に雪が落ちるので都合はいいです。
しかし、3寸勾配というのは多くのソーラー発電では雪が滑り落ちません。 4寸勾配でもギリギリ滑り落ちないかもしれません。
しかも、北上市は岩手県内の中でも多雪地域であり、ソーラー発電は真冬に活躍しない状況が多いのです。
急勾配の大屋根デザインにすれば雪も滑り落ちますのでソーラーも働きますが、無理やり急勾配にしてデザインバランスの悪い家になっていることもしばしばあります。
今回は片流れデザインのため、できれば急勾配は避けたいという思いがありました。
北側の屋根を上げ過ぎたくなかったのです。
デザイン的に妥協できる限界が3寸勾配でした(出来ればもっと緩くしたいくらい)
ここから会議の内容を少しご紹介します。
会議には、「鎌田先生」 ・ 「私」 ・
ソーラーの研究者「 I さん」 ・ ソーラー集熱の研究販売元「K社さん」 で行われました。
何度か会議は開かれました。
私 「3寸勾配で雪って滑り落ちますかねぇ...。雪が滑り落ちないと、冬期間のソーラー発電は発電しなくなります。それは覚悟の上なのですが、肝心のソーラー集熱が全く作動しないと本当に無駄になってしまうので心配ですねぇ。」
I さん「3寸勾配は実績がないです。3.5寸勾配では滑り落ちることを確認しています。微妙な勾配ですが・・多分、大丈夫かなと思われます。」
ここからが面白い話です(^^)
I さん 「たとえ雪が積もっても、天気が晴れて太陽光パネルの表面が温まれば雪は融けます。
そうしますとその上にある雪は滑り落ちると思われます。
屋根一体ソーラーパネルのジョイント部分で、雪を滑りやすくする対策はしてありますので。」
私 「え・・?なんで雪が積もった状態で、その下にある太陽光パネルの表面の温度が上がるんですか?」
I さん 「太陽から出る赤外線の波長で遠赤外線は雪を貫通してソーラーパネル面まで到達します。
そうすれば、ソーラーパネル面の温度が上がり雪は融けます。
あとは、実験したことはないですが3寸勾配で滑るかどうか・・です。
一部が融けて滑り落ちれば、あとはソーラーパネルの裏面の空気が暖められるのでどんどん雪が解けていくと思います。」
私 「へぇ・・雪が積もっていてもその下には熱線が到達するんですね・・。面白い理屈ですね!。
3寸勾配で雪が滑り落ちたら、日本初の実績になりますね!
落ちるかるかどうか楽しみになってきました。
うまくいかなかったときは、メーカーさんとして3.5寸行勾配が限界ですと言えますね・・・。
滑り落ちてほしいですが・・(^^;)。」
実験②:落ちた雪の量の処理1
私 「この屋根面で雪が落ちたらすごい量の雪山になりますね...。リビングの窓に押し寄せてきそうです...(--;)。」
これについては、全員であ~だこ~だと議論を重ねました。
その結果・・
玄関ホールの南側もタイルで土間続きにした(下図オレンジ部分)ので、
そのまま延長してリビング前もウッドデッキではなく、タイル土間(黄色い部分)にすることにしました。
かつ、雪山が積もるだろうという位置と段差を大きくして雪山の多くが南に延びていくことを意図することにしました。
玄関前のテラス土間がそのままリビング前まで連続性もできるので空間的にもすっきりしますし、
落雪&積雪対策にもなるので一石二鳥で即決でした。
基礎工事進行中・・ぎりぎりで仕様が変更なっていくような綱渡りの状況がつづきます(^^;)。
このあとも、エコテクノルーフの会議で、とっても面白い実験が発案されてきて、
基礎の仕様が同時進行的に仕様変更していくのでした。
ある意味・・恐ろしいくらいギリギリのやり取りでした。
基礎やさんごめんなさい(^^;)。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】