2回目の泣きです(;_;)。
プランニング業務が重なりすぎ・・と、出張続き・・、月末と重なって、体と頭がパンパンです(><)。
楽しみにしてくださっている皆さん申し訳ございません(><)
第22話:基礎工事スタートと 舞い込む実験
いろいろと七転八倒しながらも、着工ギリギリでなんと納得感を感じるプランに変わり、気持ちよく基礎工事がスタートしました。
「納得感を感じる」
こういう気持ちになれたことに救われた思いをしました。
この基礎工事では、いろいろな実験や測定が盛り込まれることになっていました。
○ 1つめは新しい断熱型枠の施工実験です(ビフォーアフターにも登場しました)。
(まるでレゴブロック基礎型枠)
強化された基礎断熱を省力化しながらできないものか・・という施工実験です。
数か月前から鎌田先生・東北資材工業(断熱型枠のメーカー)・私で、今回試験施工したい断熱型枠の改良版について会議をしておりました。
(断熱型枠改良会議の様子)
そんな会議の中で驚かされるのは先生の発想です。
例えばこんなやり取りもありました。
先生 「捨コンなしで断熱型枠を固定できないか?」
東北資材工業と私 「さすがにそれは無理じゃないですか?・・・。捨コンなしで型枠はパンクしますよ。」
先生 「そお?この断熱型枠のここをこう改良して、こうやれば捨コンなしでも型枠は立つんじゃないの?」
東北資材工業 と 私 「・・・」
「・・確かに・・できそうですね・・。」
断熱型枠をよく知り、現場の場数を踏んで、施工方法については自信のある私や東北資材工業さんでは思いつかないような・・斬新かつ理にかなった施工方法を、鎌田先生はいつも思いついたように話します。
このかたの頭の中はどうなっているんだろう・・と驚かされます。
今回の基礎ではそんな断熱型枠を使ってコラム式の基礎を施工する実験をすることになりました。
○ 2つめの実験は、なんと基礎工事開始と同時に先生から出された実験でした。
(三位一体ソーラー)
当初は某Kメーカーさんの屋根一体ソーラー発電にする予定で、東北電力さんにも申請が済んでおり売電価格も値下がりする前の価格で認可が下りていました。
そんな中・・数年前から鎌田先生とTaソーラーさんで特殊なソーラー発電を共同研究していたそうで、それがようやく試験設置できるところまで完成したという連絡が入ったそうなのです。
Taソーラーさんから、「そのソーラーを試験設置できる良い物件はないでしょうか・・」という問い合わせがあり、鎌田先生から私に連絡が入ったのでした。
先生「白鳥君さァ・・単なるソーラー発電乗せるなんて面白くないよ。今回、ちょっと試してみない?」
私 「え!?今からですか!?。既に設備認定も取ってますし、屋根の納まりもメーカーさんと何度も打ち合わせしているので、気が重いですねぇ・・」
先生「白鳥君家が、ちょうどタイミングがいいんだよね・・」
さすがに気が重かったです(それまでの他の方の努力を無にする感じがしたので)が・・そのソーラーの説明を聞きに仙台まで行き、実験好きの私にはぴったりのソーラーであることで・・、悩んだ末にその実験ソーラーに切り替えることにしました。
三位一体ソーラー
どういうソーラーかと言いますと・・
ソーラーというと一番初めに思いつくのは「ソーラー発電」だと思います。
次に思いつくのは「ソーラー給湯」だと思います。
そして、「ソーラー集熱」というものがあります。
同一屋根面でこの3つを同時に行う「屋根一体ソーラー」です。
もう少し詳しくご説明しますと・・
「ソーラー集熱」とは、太陽光によって屋根面にできた「暖かい空気層」を「暖房熱」として室内に取り込むということです。
私も初めて知ったのですが・・
ソーラー発電パネルの裏面では実は太陽熱で温かくなった空気が流れているのだそうです。
ソーラーで発電しながらそのパネルの裏面を流れている温かくなった空気を室内に取り込もうというのが今回の狙いです。
「ソーラー集熱」という言葉を知らない方でも「OMソーラー」という言葉を聞いたことのあるかたは多いのではないでしょうか。
では・・なぜ、鎌田先生が今まで見向きもしなかった「ソーラー集熱」に興味を持ったのかと言いますと、今回のTaソーラーのシステムがほとんどコーキングに頼ることなく、「金属同士のかみ合わせで空気が漏れない」という提案がTaソーラーさんから説明があったためです。
話によると、鎌田先生も20年以上前「ソーラー集熱」の実験を何度となくやったそうなのですが、集熱温度が高すぎて集熱パネルまわりのコーキングが数年で割れてきて漏気が始まるだそうです。
そこを何度となく工夫して実験しても結局は10年持たずに漏気が起こり、その漏気がどんどん増え集熱量も減ってしまうのだそうです。それでは商品化は難しいと判断して「ソーラー集熱」の研究をやめた・・という歴史があったそうです。
しかし・・今回のTaソーラー発電パネルは金属同士のかみ合わせによるものであり、これなら半永久的に「漏気のないソーラー集熱(集熱量が長い年月、安定して取れる)」になるだろう・・と判断し、いろいろな実験やソーラーの気密測定をTaソーラーさんと一緒に繰り返してきたそうでした。
そういう試行錯誤の歴史と、我が家の着工タイミングがギリギリ合ったことで、いつもの感覚で「これも流れかな」と思い、急きょ仕様変更をすることを決意しました。
それまでのKソーラーさんには、本当に申し訳なくお詫びをして了承をいただきました。
実験する項目がでると、それに付随する形でいろいろと新たな問題点や調整点が出てきます。そのやり取りもまた面白く、自分のスキルも上がる感じがしました。
それは次回ご説明いたします。
基礎工事をしながらギリギリでの基礎仕様変更も出てくるのでした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第21話:着工前1週間の変化
パッシブハウス認定は、どうやっても無理と言われ、腑抜け状態でお墓参りと鎌田先生へのお詫び行脚をしたのは、着工まで1週間と迫っていた時期でした。
それでも取得の方法は2つありました。
〇 1つは、壁厚700㎜にして3階建てにする。
〇もう1つは、昨今大騒ぎになっている数値の改ざんです。
前者は技術的に頑張る意味が薄いし、
後者は、ちょうど先週の全国ニュースにもなっている三菱車の燃費改ざんと同じように、
1回やってしまうと、私の家づくりの過去のものまで信用を落としかねないので姿勢としてやりたくない。
そういうことを考え、パッシブハウス認定取得はきっぱり諦めることを鎌田先生に報告しました。
鎌田先生は、「北上ってそんなに日射量悪かったっけ?クーラーさんデーター間違ってるんじゃないの?」とは言いつつも、
「ここまでやって無理なんだったら、もう諦めよ」・・とあっさりでした(^^;)。
そこからが先生の切り替えは迅速でした。
鎌田先生 「だったら、今まで諦めていたのを家づくりに戻したら。
バルコニーもびゅ~っと付けたらいいさ」
私 「確かにそうだ。バルコニーも小庇も無くしたから、夏に死にそうなくらい暑くなると思っていたし、
布団を干すこともできるようになるので、その方が快適で使いやすい家になりますね。」
1階の夏の日射遮蔽にも都合よかったので、1.2mの奥行きで東から西まで長〜くバルコニーを再設置しました(下図オレンジの部分)。
2階から景色のいい外にも出れるので、いろいろと生活イメージが楽しくなってきました(^^)
鎌田先生 「あとさァ・・こんな図面出てきたんだよ・・。
俺が15年くらい前に秋田で設計した家なんだけど、
その当時にこんな基礎断熱やってたんだ・・って、さっき見てたんだよ。」
そう言って、おもむろに古い図面を見せてくれました。
私はその図面を見たとき、基礎断熱の施工図より、プランニングの方に目が止まりました。
私 「先生・・。この図面、面白いですね・・。玄関に入っていきなりサンルームホールですか・・?。
先生ってこんな斬新な設計するんですか・・」
私は忘れかけていたものを思い出しました。
当初の設計コンセプトである「家の中に入ったら外?」・・という空間イメージを・・。
私が急に目の前が明るくなった感じを覚えました。
頭の中で玄関ホールの平面と断面そして南のデッキまでプランニングがぐるぐると回り始めたのです。
私 「先生、このプランニングのこの部分、パクらせてください!。
玄関ホールを大きな土間化します。
ついでに玄関ポーチから玄関ホールを通って南の庇まで天井を連続させて外と中の要素を連続させていきます!。
南側もウッドデッキではなく、土間テラスにします。
その方が連続性もありますし、雪で腐食を心配するよりいいので。」
【 下図:玄関を土間化してそのまま南の庭にも通り抜けれるように変更 】
【 下図 : 玄関ポーチの天井羽目板をガラス越しに連続させて、
玄関内部の土間天井・・そのまま南のテラスまで天井を連続させるイメージ図 オレンジの部分】
先生「今から間に合うの?断熱型枠も鉄筋も加工始めてるんじゃないの?」
私「そこも確かめますが、とりあえず図面化して明日にも送りますので、基礎の地中梁の構造計算も調整お願いします!」
私は、居ても立ってもいられず、とりあえず、図面の修正予定ポイントを先生に説明して、仙台から北上へと車を走らせました。
道中、型枠断熱の変更と鉄筋加工の変更を伝えて、
頭の中ではプランの変更部分をどんどん膨らませていました。
だんだん楽しくて使いやすい家になっていく感覚を覚えました。
パッシブハウス認定がNGと言われたことについては、人生を通しての本当の答えは見えていませんが、パッシブハウスがNGとされたことで、こんなに家づくりが面白い方向に進めるのか・・という感覚を覚えたことは確かでした。
よく鎌田先生が口にする 「無暖房住宅が世の中に10軒あるより、燃費半分で暮らせるキューワン住宅が1000軒あったほうが、環境のためになるよ」 ということも体感として理解できました。
パッシブハウスも無暖房住宅も、コストが掛かり過ぎる印象があり、一般のほとんどの方が建てられません。
それよりも、手の届く高性能住宅を提供したほうがいいんだな・・と感じました。
ちなみに、もし、我が家の最終仕様を壁厚700㎜にしてパッシブハウス認定を取ろうとしますと、キューペックス計算上で暖房負荷4.9kwh/㎡となります(確かに目標としていた5.0をクリアします)。
しかし、視点を変えると1年間の暖房用灯油消費量は119リットルとなります。
それまでの197リットル灯油が119リットルとなるので、約80リットルの灯油節約です。
1リットル100円であれば8,000円・・1リットルが昨今の50円であれば4,000円・・1年間に節約なるのです。
1年間で4000円~8,000円節約するために掛かる工事アップは、数百万円となります。
そういう視点からも、単に超高性能な家を提供するのではなく、
手の届く範囲で出来るだけの高性能な家を世の中に増やすことが大切なのだな・・と感じました。
こうやって、ある意味 足枷が無くなった私は、
短期間のうちに図面をガラガラと変えて着工に向かうのでした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第20話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その9- パッシブハウス認定の可否
パッシブハウス認定を目指した資料をドイツに送って2週間以上が経ち、着工まで約10日と迫っていました。
パッシブハウス認定が可能なのか、部分的な修正が必要なのか・・その修正は基礎にも影響するのか・・、明解な回答がないモヤモヤ感を持ったまま、新型の断熱型枠や鉄筋の製作が始まろうとしていたギリギリのタイミングでした。
ようやくクーラーさんから国際電話が入りました。
私:「お久しぶりです。全然連絡が取れなかったんで心配してましたよ・・」
クーラーさん:「すみませんでした。PHPPで計算したり、パッシブハウス協会の方と相談したりして時間が掛かっておりました。」
私:「それで、パッシブハウス認定を取るために、どこか調整が必要なポイントは出ましたでしょうか・・?」
クーラーさん:「順番に説明しますので聞いてくださいね・・」
クーラーさんは、少し考えたように間を取ってゆっくり説明を始めました。
「まず、パッシブハウス認定ですが・・」
「今回はどうやっても取れません。ごめんなさい。」
私:「 ・ ・ ・ 」
クーラーさん「理由としましては、北上市は予想した以上に冬の日射量が少ないです。」
「私も、太平洋側なのでその点は心配ないと思っていたのですが、日本の気象庁のデーターでも、思ったより日射量が取れてないのです。」
「本当にごめんなさい。最初の段階で、北上市の気象データーをしっかりと見るべきでした。」
私:「・・、北上市ってドイツよりも厳しい環境ということでしょうか・・」
クーラーさん:「そうかもしれないですね・・。
ただ、認定を取れる方法もあるのですが・・非現実的です。
PHPPで計算してみると、壁の断熱厚さを700㎜にするとか・・
基礎の高さを1m以上にして床面積を増やすとか・・。
でも、ナンセンスですね。」
私:「そうですね。それはさすがにコスト的にも技術的にもやる意味が薄いですね。」
私:「そうでしたか・・。でも、スッキリしました。
今まで、どんなことをやっても答えに近づかなかったので、おかしいとは思っていましたので・・。
いろいろとシュミレーションしていただきまして本当にありがとうございました。」
電話を切った後・・私は、強烈な脱力感を覚えました・・。
スッキリしたという気持ちも確かにありましたが・・努力が報われないという結果に、自分の「人生の流れ」が変わったのでは・・という不安も感じ始めました。
言葉でなんと表現したらいいのかわからないほど、
とにかく仕事をする気がなくなり、家で悶々としていました。
無駄な努力は無い・・という価値観を持っている私です。
パッシブハウス認定を取ろうとして、かなりの労力と精神的にノイローゼになるくらいの日々を過ごしたことに何か意味があるのという事なのだろうか・・、
それとも、やはり人生の流れが悪い方向に変わっていく兆しなのだろうか・・。
自問自答しても答えを悟ることが出来ず、翌日・・仕事を休んで、ご先祖さまへのお墓参りと、HAさんのお墓参りと、鎌田先生へのお詫び行脚をしました。
鎌田先生にも、性能値を上げるためのアドバイスを何度ももらい、Q-PEXでの性能アップのコツも相談させていただいていたので、パッシブハウス認定を取れないということの報告も兼ねてのごあいさつでした。
家づくりの大きな目標の1つを失いパワーも失いかけた私でしたが、
なんと・・このあいさつ行脚で、もう一度パワーをもらえるような展開が起こるのでした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
すみません。今週は連載をお休みさせてください。
2週連続の見学会 ・ お引渡し準備 と プランニング作業が 重なっており、展示場物語まで作業が出来ませんでした(><)
GW中に数話まとめて書いておきます(--;)
第19話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その8- ついに出た! 暖房負荷=5.0KWh/㎡
SEさんのところに行って燃費ナビという計算ソフトでの計算結果で「パッシブハウス認定には程遠い」と判断された私は、帰りの車中で諦める気持ちが70%・・何とかならないものかと諦めない気持ちが30%・・という状態だったと思います。
そんな悶々とした頭の中に、最後のあがきでしょうか・・。ふと・・最後の手段が浮かんできました。
その最後の手段とは・・、
設計の平屋ゾーンを切り捨てて、総2階ゾーンだけで申請するというものです。
下図のようなイメージです。
間仕切り壁はともかく、上のような図面のうち右側の平屋部分を切り落とすのです。
本当の設計では平屋の部分も残りますが、玄関ホールから総2階部分に行くドアのラインのところで断熱的に切って、総2階で1つの断熱ゾーン(赤い部分)にするという考え方です。
以前にクーラーさんから「こういう手法もありますよ」・・とアドバイスされていたのですが、玄関ホールからリビングに行くときに、いちいち断熱ドアを開け閉めするのは不便ですので、話をまじめに考えていませんでした。
しかし、ここまできたら最後の手段と思い、ついに大ナタを振り落して総2階の建物と図面を変更してQ-PEXで計算してみようと思ったのでした。
ついでに、最高の計算結果を見たかったので、南面以外の窓を全部無しにしてみました。
つまりは、窓は南だけ・・です。
半分やけくそになっている感もあり・・何のために家を作ろうとしているのか、根本的な家づくりの目的が見えなくなっていく感じを覚えました・・。
Q-PEXの計算結果・・
暖房負荷=5.0Kwh/㎡!
5.0Kwh/㎡・・!
ついに 5.0Kw という数値をたたき出しました!!
私はしばし呆然としました。
ようやく追い求めていた数値である 暖房負荷5.0Kwh/㎡ という数値を出せた思いと・・、
5.0Kwh/㎡ってこんなレベルを指すの?・・という思いと・・
もし、これならパッシブハウス認定クリアしますと言われても、
こんな家・・とても住みたいとは思えない家だなァ・・という思いと・・
暮らしやすい家にするために努力して設計しているのに、
認定を取るためには東西北の窓を全部無くした・・住みたくもないような家になるの・・?
なに・・この認定レベル?・・という、パッシブハウス認定のレベルに対する疑問と・・
とにかく、ようやく出た暖房負荷5.0Kwh/㎡ の数値によって、今までにないくらいのいろいろな思いが頭の中をぐるぐると巡りまわっていました。
しかし、こんなに苦労して出した5.0Kwの数値です。しかも、Q-PEXという計算ソフト上での数値ですので、本場ドイツの熱計算ソフト(PHPP)との計算結果も違ってくるので、とりあえずこの資料をクーラーさんにメールで送ることにしました。
私「ようやく5.0Kwh/㎡を出せましたが、南面以外の窓を全部無くしてたどり着きました。このままの仕様ですと、通風は悪い、夏は死ぬように暑い、北の部屋は暗い・・など、住みたくない家になります。
パッシブハウス認定を取得しながら東西北面に設置できる窓の面積を計算してほしいのですが・・」というお願いもしました。
そこから・・2週間ほどの日数が経ちました。
なかなか返事が来ない状況下で、実は基礎着工も迫っていました。
地鎮祭は3月に終わらせておりました。
パッシブハウス認定のための仕様調整と、そのほかもろもろの施工実験するため鎌田先生とも並行で研究の話を進めており、着工のタイムリミットも設定しながらの図面調整だったのです。
着工するにあたり、基礎の新しい施工方法の計画図も完成していました。
クーラーさんからなかなか返事が来ないが、とりあえず基礎だけは着工してしまおう。
その間に建物の窓仕様などを調整すればいいや・・と、ギリギリの判断を迫られていたときでした。
クーラーさんからようやく国際電話が入りました。
そして、クーラーさんからの熱計算ソフトPHPPによる計算結果と
パッシブハウス認定の可否についての結果が伝えられました・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第18話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その7- 驚く計算結果
苦労に苦労を重ねた末・・、正攻法で暖房負荷を8.2KWh/㎡まで絞り込んだ私は、「燃費ナビ」というソフトを使えるSEさんの会社を朝一で訪問しました。
SEさんも、「随分すごい断熱厚やサッシ仕様ですね」・・と言ってくれて、わくわくしながら2人で数時間かけて燃費ナビに情報を入力していきました。
入力に時間は掛かりましたが期待しながらの作業だったので苦にならない思いでした。
そして昼頃・・ついに計算結果が!。
計算結果・・
「この建物はパッシブハウス認定に・・」
・・・
「なりません」
...(・・;)
私「SEさん、あとどれくらい認定まで開きがあるんですか?
何%くらい絞れば良いとかわかりますか?」
SEさん「ん~・・ちょっと途方もないくらい遠いですね・・」
SEさん「あと40%近く暖房エネルギーを減らさないとならない感じです・・」
私「はァ!?(@@;)」
私「屋根480㎜・・壁350㎜・・サッシも通常以上に高性能にして・・
敷地周辺に日射を遮るものが無い、これ以上ないと思われる最高の環境で・・、
パッシブハウス認定には程遠いという計算結果なんですか!?」
私 「ここまでの仕様で、『あと少し頑張れば認定に届きます』・・ならばわかりますが・・『程遠い』・・は、さすがにおかしくないですかねぇ・・?」
その後、SEさんも「燃費ナビ」を使える他の人に電話をして相談してみましたが、
総2階~総3階でないとかなり難しい認定だという事がわかってきました。
私「ん~・・。総2階でしか取れないような認定レベルならさすがに諦めようかな・・。
家づくりが面白くなくなってしまう思いがしてきますよ」
SEさん「せっかく苦労して頑張ったのに、こんなに認定までの差があるのであればこれ以上無理しなくてもいいかもしれませんね・・」
私は、帰りの車中・・ふぬけ状態になりました。
今までノイローゼになりそうなくらい頑張って報われないものだろうか・・。
あれだけの仕様で、随分といろいろプラン上の希望を諦めてきた。
そこまでやって、片手も掛からない認定って何なのだろうか・・。
悶々と考えて、頭の中がモヤモヤしてました。
そんな状態で 過去の作業 や いろいろな思いを グルグルと考えている最中・・
ふとした閃き(ひらめき)がでました・・。
私「もしかして・・」
諦めの悪い私は、最後の最後のあがきで、
ひらめいた調整をしてみようと思いつきました。
そして、会社に帰るなり、Q-PEXをいじり始めました。
大ナタを振り下ろしたのです。
そして・・ついに、計算ソフト「Q-PEX」上で、暖房負荷5.0KWh/㎡が出るのでした。
次回:ついに出た 暖房負荷=5.0KWh/㎡
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第17話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その6- 山あり谷あり...
正攻法でなんとかQ-PEX上、『暖房負荷=10.6KWh/㎡』まで絞り込んだ私は、さらなる絞込みの方法を画策してました。
そんな矢先でした・・。
今回使おうとしていたサッシのK-windowさんからメールが入りました。
「今回考えていた高性能ガラス仕様だと、熱割れを起こす可能性があるそうで、Low-e膜の構成を変えるため、日射透過率の数値を変更してください。」との突然の内容でした。
日射透過率を63%→58%に変更を余儀なくされました。
それをQ-PEXに入力してみると・・
暖房負荷が10.6KWh/㎡ ⇒ 11.2KWh/㎡ ( ̄□ ̄;)
日射透過率が5%も違うだけで、あっという間に暖房負荷がまたしても
11KWh/㎡台と悪くなってしまいました(;_;)
コツコツ・・コツコツ・・コツコツ努力したものが、一気に壊された感じで、精神的ダメージが大きく、
一時、ふぬけ状態になってしまいました・・(;_;)。
ん〜・・でも、やっぱりまだまだ!
「今まで20年近く断熱で培ってきたスキルをもってすれば、解決の糸口が見えるはずだ!」・・と力を振り絞って、図面調整を繰り返しました。
ステップ5‐① : 2階のサッシをW1700×H1400 にサイズアップ
(日射を少しでも多く取り入れるため)。
ステップ5‐② : 建物角度をもう少し真南に向けよう。
建物の真南に対する振り角度 16.3°⇒14.9° にして少しでも真南向きに微調整
そんな作業をいろいろとしている中・・思わぬ連絡が入りました。
クーラーさんからの国際電話で「天井高さ2m以下のロフトは床面積の半分を算入していいですよ」とアドバイスがありました。
これは大きい!救いの神です(^^)
ロフトの天井高さを将来2m以上にするとして、ロフトの床面面積を100%算入することにしました。
和室もちょっとだけ広げたので・・
ステップ5-③:ロフトの床面積を堂々と加算・和室もちょっと面積増
相当延べ床面積 191.4㎡ ⇒ 210.839㎡
暖房負荷が11.2KWh/㎡ ⇒ 8.2KWh/㎡!
またまた一気に8KW台になりました(^^)b
「結局・・面積か」・・と釈然としない部分もありますが・・
これだけの断熱仕様なので認定取得を優先で考えることにしました。
しかも、以前の8.7KWよりもさらに絞り込んで8.2KW!・・。
これは行けるぞ!
さすがにプラン調整の限界だ・・と感じて、この仕様でパッシブハウス認定に近づいているか検証しようと思いました。
暖房負荷=5KWh/㎡ とは行きませんが・・これだけの断熱仕様で認定が取れないはずはないだろうという自信が出てきました。
知り合いのSEさんという方が「燃費ナビ」というパッシブハウス認定を計算する日本語版のソフトを使えるので、SEさんと計算してみて、あとどれくらい微調整すればいいのかの目途を立てようと考えたのでした(^^)
意気揚々とSEさんの会社を訪問。
そこで、驚く計算結果が出るのでした・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第16話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その5- 正攻法で...
裏ワザを駆使して Q-PEX計算ソフト上での 『暖房負荷8.1KWh/㎡』 まで落とした私でしたが・・、
時間が経つにつれ悶々としてきました。
「裏ワザ」と言えば聞こえがいいが、「数値の改ざん」といえば卑怯感が漂うなぁ・・。
そこまで数値を調整して取得する認定に何の意味があるのだろうか・・。
逆に、数値を改ざんしてまで認定を取得したという
「自分の気持ち」と「会社のイメージ」が悪くなりそうだ・・。
そんな思いも脳裏に浮かび、もう一度数値を戻してみました。
ステップ④-1:クーラーさんから、「玄関ホール正面のFIX窓の上か下に通風用の窓を設けてください」と指摘があり、窓を増設。
暖房負荷 8.1KWh/㎡ ⇒ 8.7KWh/㎡
影になる時間が多い位置に窓を増やすと一気に数値が悪くなるなァ・・という印象。
窓を増やすのがだんだん怖くなってきます(--;)
ステップ④-2:ロフトの床面積は算入させない(209.71㎡→189.74㎡)
クールチューブによる仮想評価は無にする(換気効率2%ダウン)
暖房負荷 8.7KWh/㎡ ⇒ 11.5KWh/㎡
分かっていても・・やはりがっくり来ます・・(><)
しかし、「ここで諦めてなるものか!」と図面調整。
ステップ5-①:玄関ホールのガラス面の影の影響を少なくするため壁を455南に移動してみました。
床面積と天井断熱面積も増えますが、外壁面積は逆に減るのでその点でも効果はありそうだと感じました。
暖房負荷 11.5KWh/㎡ ⇒ 11.2KWh/㎡
やはり、ガラス面の日陰になる時間を減らすと効果が大きいなァ・・という印象です。
ステップ5‐②:そうであれば、玄関ホールの窓を少し妥協して、ガラス面を小さくしようと考えました。
3m近い大型FIX窓を考えていましたが、1.5m角の横滑りだし窓1台に変更。
影の影響が少ない位置に微調整して設置してみました。
暖房負荷 11.2KWh/㎡ ⇒ 10.6KWh/㎡!
ようやく、正攻法で11KWh/㎡の壁を越え、10KW台に突入!
少しだけうれしくなりました(^^;)
でも・・まだまだ5KW台には程遠いです・・(--;)
ここで冷静になって、別の視点から物事を見てみましょう。
最初の段階での暖房負荷は12.5KWh/㎡ 一冬の暖房用灯油消費量は272リットルと想定されました。
ここまで血のにじむような思いで、いろいろなものを調整したりコストを掛けたり、
間取りで諦める部分も積み重ねて、ようやく、暖房負荷が10.6KWh/㎡にたどり着きました。
予想される暖房用灯油消費量は、想定で233リットルになります。
初期図面の頃より1年間で約40リットルの灯油が減ることが想定されます(272リットル-233リットル)。
1年間の灯油代が 1リットル100円と考えたときに、27200円→23300円になるという事です。
これを、どう評価するか・・です。
〇 一冬の暖房用の灯油が40リットル(4000円)も減ったとプラスに考えるか
〇 こんなにコストを掛けて、プランの諦める部分も増えて40リットル(4000円)しか減らなのかと思うか
私自身も、ここまで来ると、「何のために家づくりをしているのだろうか・・」と悩み始めました。
パッシブハウス認定を取るための家づくり?
楽しい空間や楽しい生活をするための家づくり?
悶々と考える時間が増えました(--;)
でも、今回は、実験住宅でもあり、パッシブハウス認定を取るというのも目標の1つなので、
もう少し頑張ってみようと心に決めるのでした。
本当に5KWh/㎡なんて出るのだろうか・・
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第15話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その4- 裏ワザ...
目標値である Q-PEX計算ソフト上での 『 暖房負荷5.0KWh/㎡ 』
図面骨格を変えても、窓の高さや庇の長さを変えても、何をやっても・・まったく近づく気配を感じず・・ほとほと疲れ果てて来ました(‐‐;)。
目標値が絶対におかしいと思うほど・・。
そんな悶々としてパソコンの前で腕組みしているとき・・
ふと・・頭の中に妙案が浮かび上がりました。
「もしかして・・ロフトの天井高さを上げて、
いっそのこと3階建てのように床面積を増やしてしまえば効果があるのでは」・・
(割り算の分母の数値が大きくなるため)
日本では天井高さ1.4m以下のロフトは床面積に算入しませんが、それ以上になれば床面積になるので、その点を利用してみよう。
そんなひらめきでQ-PEXをいじってみると・・
ステップ③-1:ロフトの天井高さを上げて床面積を意図的に増やす
(分数の分母の数値を増やすため)
【ステップ③-1の計算結果】
床面積が19.97㎡増えて・・なんと・・
暖房負荷 11.6KWh/㎡ ⇒ 9.1KWh/㎡ !!
なんと、一気に9KW台まで向上しました(^^)/。
これはすごい!!!
ちまちまサッシの高さや、図面をいじるより床面積を増やしてしまった方が効果抜群です!
光が見えてきました!
・・でも、ちょっと待てよ・・。
何かおかしいなぁ・・
床面積を増やす・・ということはわざわざ暖房する気積を増やすということになる・・。
つまりは無駄にエネルギーを使う建物になっていくのに、そのほうが認定に近づく・・(??)。
何か矛盾していないだろうか・・
図にしてみると下図のような感じです。
図Aは2階が水平天井・図Bはわざわざロフトを作る。
黄色い部分の気積が増えて暖房するエネルギーが無駄に増える(工事費も無駄に増える)のに、
床面積が増えることでパッシブハウス認定に大きく近づく・・。
かなり矛盾した話になってしまいます・・。
やはり、全ての認定制度は完璧ではない・・ということがこういう点からも見えてきます。
そんな矛盾を抱えながらも・・、ようやく光が見えてきた私は、さらなる裏技を投入し始めます。
ステップ3-②:換気システムで熱交換効率78%をクールチューブ使って地熱利用すれば2%くらい加算してもいいのでは・・と80%に数字を勝手に改ざん。
【ステップ3-②の計算結果】
暖房負荷 9.1KWh/㎡ ⇒ 8.9KWh/㎡
ステップ3‐③:隙間相当面積は安全を見て0.3㎝2/㎡にしていたが、0.1㎝2/㎡にしてみよう。
(これは大丈夫だと思うので)
【ステップ3-③の計算結果】
暖房負荷 8.9KWh/㎡ ⇒ 8.2KWh/㎡
これは意外と大きい!!
ステップ3-④:2階の南窓をあと5㎝設置高さを下げる
(日射熱をわずかでも増やす目的)
【ステップ3-④の計算結果】
暖房負荷 8.2KWh/㎡ ⇒ 8.1KWh/㎡
なんと・・あれだけ苦労していた暖房負荷11KWh/㎡台の壁が、一気に8KWh/㎡台まで下がりました!
これなら目標値に到達するかも!・・という期待が大きく膨らんできました(^^)。
ここから更なる地獄が待っていたことも・・このときは思いもしませんでした・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】