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木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語  第24話:エコテクノルーでのチャレンジ―その②― ソーラー集熱+非乾燥感

 

第24話:エコテクノルーフでのチャレンジ-その②-「 ソーラー集熱 + 非乾燥感 」

 


 エコテクノルーフによる「融雪実験」と「雪が落ちた場合の対策」について方向性が決まりました。

 

 次は、私が気になっている項目について議論がなされました。

 

 それは「ソーラー集熱は過乾燥にならないのか...?」ということです。

 

 
 ソーラーパネルの裏面の温まった空気を使うソーラー集熱(ソーラー集熱部分の名称は「そよルーフ」)は、太陽のエネルギーを無駄なく利用するという点では素晴らしいといえます。

 

 気になっているのは、ソーラー集熱された空気がどれくらい温まって、それによる乾燥感が起こらないのか・・という点です。

 

(現在の高断熱高気密住宅と呼ばれる家づくりは、多くのハウスメーカーさんの住宅では冬の乾燥感がすごい状況です。

ほとんどの営業マンがそれについて説明をしませんが、質問すれば重い口を開いて「冬は乾燥します」と言い切ると思います。

そのため、乾燥感のあることが一般的なので、ダメなシステムというわけではありません。・・ということを付け加えておきます。)

 

 ただ、木の香の家では長い試行錯誤の結果、冬期間にようやく乾燥感の少ない湿度45%~60%くらいをキープできるような住環境にできています。

  


いわゆる、「適温+適湿度」で暮らせるようにコントロールできているのです。

 

 


それを、「社長の家は乾燥感がすごいです」・・とは言いたくないという事情があります。


もちろん、私自身も乾燥感のキツイ家には暮らしたくないという思いもあるためです。

 


**********************

 

 私   「ソーラー集熱の場合、最高で何℃くらいの空気が何m3くらい入ってくると予想しますか?」

 

 K社さん「最高ですと、60℃くらいの空気が500m3/hくらい入ってくると思います。」

 

 私   「500m3っていったら、家の気積と同じじゃないですか...。しかも、レンジフード2台分の風量ですか...。すごくないですか?」

 

 K社さん「500m3/hといっても一時的な風量であり、供給されればまたソーラー内部の集熱温度は下がりますし、供給量も下がります。」

 

 私   「湿度何%くらいのが入ってくるんですか?」

 

 K社さん「温度は50~60℃で、湿度2~3%くらいです」

 

 私   「え!そんな乾燥空気が入ってくるんですか!?・・・。  家の中、過乾燥にならないんですか?

      今まで、OMソーラーさんの家って乾燥してないんですか?」

 

 K社さん 「そうですねぇ。加湿器は手放せないと思います。」

 


 私   「えぇ...それはやだなぁ...。せっかく『乾燥感の無い家づくりなんですよ!』って自信持っているのに、乾燥感が出ると会社としてちょっと嫌ですねぇ・・」

 


 私   「熱だけもらって、残った乾燥空気・・捨てられませんかねぇ・・」 

 

 **********************

 


ソーラー集熱の場合、一般的には集熱効果を最大限引き出すために、集熱した空気は床下にそのまま供給します。

そこから、室内に送り込まれて家が温まるという考え方です。

 

 ソーラー集熱概念図①.jpg

もちろんこの方が集熱エネルギーを無駄なく利用できます。

あとは乾燥感という環境をどうするか・・という課題だけです。

 


 繰り返しになりますが、ほとんどのハウスメーカーさんの住宅は乾燥するので、その乾燥感が「課題」というとらえ方もあれば、「一般的(普通)」というとらえ方もあります。


一般的と考えれば気にしなくていいことなのです。

 

 

 ただ、今回の住宅は断熱性能がいつも以上に高いため、そこまでの熱を供給されると、室温が真冬でも30度超えをしてしまって、いわゆるオーバーヒートになってしまうのでは・・という恐れも考えられるのです。

 

 


この点について、先生・Iさん・K社さん含めて、いろいろな方法を議論しました。

 


いろいろな案が出されました。

 


最終的に 鎌田先生 と Iさん が いろいろなアイデアを出してくださり、次のような実験を行うことになりました。

 

 


テーマ 【 乾燥感の少ないソーラー集熱 】

 


実験手法① : 床下に蓄熱体を設けて、ソーラー集熱空気は断熱ダクトでそこまでもっていく。

 

実験方法② : 蓄熱体に熱を貯め込んで、余った空気は外部に捨てる(少しもったいない気分)。

 

実験方法③ : 夜間はその蓄熱体にたまった熱を室内に供給する

 

という実験理論です。

 

図にすると下図のようになります。

ソーラー集熱概念図②.jpg

 具体的な詳細図面でお見せしますと下図のようになります。

ソーラー集熱図面①.jpg

 

 

ここでひらめき発生!

 

私 「そうだ・・!。どうせ外部に捨てるのであれば、

その排熱をテラスタイルの先端を通して融雪に利用しませんか?

そうすれば、集熱エネルギーを最大限利用したことになりますし・・。」


 

 

 ソーラー融雪図②.jpg

 

Iさん   「それはうまくいかないんじゃないかなぁ・・」

 

鎌田先生 「意外とうまくいくかもよ・・」

 

 


 実験とはこういうもので、研究者2人の意見が分かれるほど予想しづらいものです。

 

 

 ただ、研究者の方の頭脳の深さは単なる当てずっぽうの予想ではないところがすごいです。

 

「失敗するなら、こういう空気の流れによる原因が考えられる」...とか、 

 

「もしそうなったら、次はこういう工夫をすればうまくいくかもしれない」...というような、

 

失敗する場合の想定と、そうなった場合の想定もイメージしながら話すのです。

 

 

 


最後には、「失敗しても白鳥の家だから大丈夫だ・・」というオチもついてました(^^;)。

 

 

 

 

「乾燥感の少ないソーラー集熱」 への実験理論は決まりました。

 


できれば「乾燥感の無いソーラー集熱」と呼べるようにしたい、という期待もあります。

 


そういう空気環境バランスがとれるかどうか・・。非常にワクワクするポジティブな気持ちとドキドキするネガティブな気持ちの両方を抱くようなチャレンジでもあります。

 

次は、その蓄熱体をどういう「素材」にするか・・その蓄熱体にどういう方法で「空気を供給」すると蓄熱効果が最大限発揮できるか・・という点について、いろいろと議論がされました。

 

 

基礎工事進行中のため、本当に慌ただしい議論になりました。

 

 

つづく

 


【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】

 

 

 

Posted at: 2016.6.25(土)

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