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木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語  第22話:基礎工事スタートと 舞い込む実験

 

第22話:基礎工事スタートと 舞い込む実験

 

 いろいろと七転八倒しながらも、着工ギリギリでなんと納得感を感じるプランに変わり、気持ちよく基礎工事がスタートしました。

 


「納得感を感じる」

 


こういう気持ちになれたことに救われた思いをしました。

 

 この基礎工事では、いろいろな実験や測定が盛り込まれることになっていました。

 

○ 1つめは新しい断熱型枠の施工実験です(ビフォーアフターにも登場しました)。

IMG_20150706_093028.jpg

(まるでレゴブロック基礎型枠)

 強化された基礎断熱を省力化しながらできないものか・・という施工実験です。

 

 数か月前から鎌田先生・東北資材工業(断熱型枠のメーカー)・私で、今回試験施工したい断熱型枠の改良版について会議をしておりました。

 dannnetukatawaku kaigi.jpg(断熱型枠改良会議の様子)

 

 そんな会議の中で驚かされるのは先生の発想です。

 

 


 例えばこんなやり取りもありました。


 先生 「捨コンなしで断熱型枠を固定できないか?」

 

 東北資材工業と私 「さすがにそれは無理じゃないですか?・・・。捨コンなしで型枠はパンクしますよ。」

 

 先生 「そお?この断熱型枠のここをこう改良して、こうやれば捨コンなしでも型枠は立つんじゃないの?」

 

 東北資材工業 と 私 「・・・」

 

            「・・確かに・・できそうですね・・。」


 断熱型枠をよく知り、現場の場数を踏んで、施工方法については自信のある私や東北資材工業さんでは思いつかないような・・斬新かつ理にかなった施工方法を、鎌田先生はいつも思いついたように話します。
 このかたの頭の中はどうなっているんだろう・・と驚かされます。


 今回の基礎ではそんな断熱型枠を使ってコラム式の基礎を施工する実験をすることになりました。

DSCF1265.JPG 

IMG_20150706_091541.jpg

 

 


○ 2つめの実験は、なんと基礎工事開始と同時に先生から出された実験でした。
(三位一体ソーラー)

 

 当初は某Kメーカーさんの屋根一体ソーラー発電にする予定で、東北電力さんにも申請が済んでおり売電価格も値下がりする前の価格で認可が下りていました。
 
 そんな中・・数年前から鎌田先生とTaソーラーさんで特殊なソーラー発電を共同研究していたそうで、それがようやく試験設置できるところまで完成したという連絡が入ったそうなのです。
 Taソーラーさんから、「そのソーラーを試験設置できる良い物件はないでしょうか・・」という問い合わせがあり、鎌田先生から私に連絡が入ったのでした。

 

 先生「白鳥君さァ・・単なるソーラー発電乗せるなんて面白くないよ。今回、ちょっと試してみない?」

 

 私 「え!?今からですか!?。既に設備認定も取ってますし、屋根の納まりもメーカーさんと何度も打ち合わせしているので、気が重いですねぇ・・」

 


 先生「白鳥君家が、ちょうどタイミングがいいんだよね・・」

 

 さすがに気が重かったです(それまでの他の方の努力を無にする感じがしたので)が・・そのソーラーの説明を聞きに仙台まで行き、実験好きの私にはぴったりのソーラーであることで・・、悩んだ末にその実験ソーラーに切り替えることにしました。

 


 三位一体ソーラー

 どういうソーラーかと言いますと・・

 ソーラーというと一番初めに思いつくのは「ソーラー発電」だと思います。

 次に思いつくのは「ソーラー給湯」だと思います。

 そして、「ソーラー集熱」というものがあります。

 同一屋根面でこの3つを同時に行う「屋根一体ソーラー」です。

IMG_0647.jpg 

 
 
 もう少し詳しくご説明しますと・・

 

 「ソーラー集熱」とは、太陽光によって屋根面にできた「暖かい空気層」を「暖房熱」として室内に取り込むということです。

 

 私も初めて知ったのですが・・
ソーラー発電パネルの裏面では実は太陽熱で温かくなった空気が流れているのだそうです。

ソーラーで発電しながらそのパネルの裏面を流れている温かくなった空気を室内に取り込もうというのが今回の狙いです。

 

  「ソーラー集熱」という言葉を知らない方でも「OMソーラー」という言葉を聞いたことのあるかたは多いのではないでしょうか。

  

 


 では・・なぜ、鎌田先生が今まで見向きもしなかった「ソーラー集熱」に興味を持ったのかと言いますと、今回のTaソーラーのシステムがほとんどコーキングに頼ることなく、「金属同士のかみ合わせで空気が漏れない」という提案がTaソーラーさんから説明があったためです。

 

 話によると、鎌田先生も20年以上前「ソーラー集熱」の実験を何度となくやったそうなのですが、集熱温度が高すぎて集熱パネルまわりのコーキングが数年で割れてきて漏気が始まるだそうです。


 そこを何度となく工夫して実験しても結局は10年持たずに漏気が起こり、その漏気がどんどん増え集熱量も減ってしまうのだそうです。それでは商品化は難しいと判断して「ソーラー集熱」の研究をやめた・・という歴史があったそうです。

 

 しかし・・今回のTaソーラー発電パネルは金属同士のかみ合わせによるものであり、これなら半永久的に「漏気のないソーラー集熱(集熱量が長い年月、安定して取れる)」になるだろう・・と判断し、いろいろな実験やソーラーの気密測定をTaソーラーさんと一緒に繰り返してきたそうでした。


 そういう試行錯誤の歴史と、我が家の着工タイミングがギリギリ合ったことで、いつもの感覚で「これも流れかな」と思い、急きょ仕様変更をすることを決意しました。


 それまでのKソーラーさんには、本当に申し訳なくお詫びをして了承をいただきました。

 


 実験する項目がでると、それに付随する形でいろいろと新たな問題点や調整点が出てきます。そのやり取りもまた面白く、自分のスキルも上がる感じがしました。

 


それは次回ご説明いたします。

 


基礎工事をしながらギリギリでの基礎仕様変更も出てくるのでした。

 

 

 


つづく

 

 

 


【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】

 

 

 

 

Posted at: 2016.5.25(水)

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