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木の香の家

教えて「断熱さん!」断熱コラム 断熱勉強講師を務める、木の香の家代表白鳥顕微志の書きおろしコラム〜牛一頭いれば家一軒が暖かくなります

【ACT3-3】「気流止め」の重要性2「透湿」と「移流」

先述しましたが、住宅構造において「気流止め」は生命線です。私が、いろいろと学ばせてもらっている新住協という研究機関では、「気流止めが出来ていれば、高断熱高気密は8割~9割出来たも同じ」・・とまで言うくらい重要視します。
それは、先述したような「暖房熱を外部へ逃がすのを防ぐ」という目的も1つなのですが、もうひとつ重要なのは「内部結露の防止」です。
ACT1で家が腐る原因の大きなものは、「生活水蒸気などが壁の中へ進入すること」にあると述べましたが、その水蒸気の移動には2種類の方法があります。

① ひとつは、水蒸気圧の差で石膏ボードなどの物体をじわじわと貫通していく移動=『透湿』
② もうひとつは、空気の流れによって運ばれる移動=『移流』

です。

生活水蒸気などが壁の中へ進入する図

この2つのうち、実は①の「透湿」に比べて、②の「移流」によって壁の中に運ばれる水蒸気の量がはるかに大きいそうです。具体的な数値の差は不明ですが、「建築知識2004年9月号」のP229で岩手大学の本間先生も記述していますし、新住協でも、内部結露で警戒するのは空気の流れによって運び込まれる水蒸気であることを強く指導しています。

ここで、ちょっと小ネタ

【透湿と移流の違いを感じる実験】
 
鎌田研究室で・・「移流」が起きないように、「気流止め」などをきちんと施工した壁で、北海道の気候で次のような実験を行ったそうです。「空気が動かない状態での水蒸気の移動力?」を調べる実験です。

実験方法:ポリシートに'あえて'コンセントボックスの大きさ(5cm×8cm前後)の穴をあけて、その室内面には普通に石膏ボードを貼る。この状態で通常の生活を一冬する(北海道)。

実験結果:北海道の気候で一冬生活して、壁の中には「手のひらサイズで厚さ数mmの霜」が出来たそうです。

考察:「ほら、内部結露したじゃないか!」・・ではなく、
「気流止め」がきちんと施工されて、構造用合板側(壁の外部側)もきちんと合板の継ぎ目などがテープで気密処理されていれば、その壁の中への「移流」による水蒸気の移動がほとんどないため、これほど大きな穴をあけても、北海道の一冬で、この程度の霜しか出来ないのか!・・なのです。つまり、『透湿による水蒸気の移動』が、この程度ということなのです。この程度の霜であれば、春夏に水蒸気として外部へ逃げて行き、腐朽菌が発生するという問題にはならないのです。


    
もちろん、わざわざ、こんなに大きな穴をあけて施工する工務店はいないでしょう。
つまり、壁の上下の「気流止め」や構造用合板での気密処理がしっかりしていれば、小さい穴は問題ない・・ということなのです。【ACT2】で記述した、1~2㎠程度の穴は問題ない...というのも、「気流止め」など、空気の移動で水蒸気が運ばれないことが条件なのです。

ここで、ちょっと情報

【危険な手抜き工事】
【メールでの応援してくれる方からの情報】
なんと、ポリシート施工をして、気密コンセントボックスを抜いているハウスメーカーが結構あるそうです。業者さんからも聞いてみましたが、ローコスト住宅を中心に、そういう手抜きハウスメーカーが意外と存在するみたいです。
下の写真は、コンセントまわりの壁模型を作ってみたものです。

コンセントまわりの壁模型

コンセントまわりの正しい処理方法は2種類あります。
もっとも一般的なのが、気密コンセントボックスを使って、水蒸気が壁の中に入らないようにする方法が一般的です。「写真:追1」

気密コンセントボックス

ポリシートを貼る前に配線しないとなりませんが、2×4工法では、石膏ボードを柱や間柱に直接固定しないとなりませんので、この方法は必須条件になります。

気流止めを施工した壁

上の写真は、実は当社の施工方法なのですが、防湿層の室内側に、横胴縁を打って配線層とするパターンです「写真:追2」。横胴縁は24mmの厚みのものを使いますので、その中でコンセントを設置する方法です。

こうすれば、電気配線でも防湿層をほとんど切らずに済むので性能が安定しますし、施工途中でお客様から「コンセント増やして欲しい」と言われてもの簡単に出来るのでこの方法を採用してます。この場合は、気密コンセントボックスを使わなくてもOKです。厳密に言えば、外まわりだけ24mm部屋が狭くなるのですが、今までそれで大きな問題になったことはありません。
ついでにコツをお話しますと、1尺ピッチに横胴縁を入れて12.5mmの石膏ボードを貼ると、ボードの縦ジョイントで縦胴縁を入れなくても、地震でクラックが入ることも今のところありません。外側の構造用合板が効いているのか、1尺ピッチの胴縁ピッチが効いているのか分かりませんが、震度5の地震でも漆喰にヒビが入りませんでした。根拠はありません・・・。

気流止め 手抜き工事

そして、手抜き工事が上の写真です「写真:追3」。一般の方がパッと見たくらいでは、よく分かりませんが、写真:追4のように、実は、水蒸気が壁の中に入るようになっているのです。黒いコンセントボックスはスカスカですので、水蒸気は進入します。

実は私も年間100棟以上やる会社に勤めていたことがあります。数をこなさなければならないハウスメーカーでは、受注に苦しくなると、価格を下げるため、どこかでコストダウンできないかという路線に向かう場合が当然あります。そのとき、ある一線を越えてしまい、「小さい手抜き」や「根拠のないコストカット」を始めると、正直言ってもう歯止めが効きません。「これくらいは大丈夫」・・と、根拠もなく、いろいろな部分が手抜きされる可能性が高くなります。(私は、会社がそういう方向に転換し始めたのが嫌で退社しました。)
確かに、コンセントボックス1個くらいの穴は大丈夫と記述しましたが、それは、外側の構造用合板の継ぎ目もテーピングなどで気密処理され、気流止めが出来ていることが条件です。また、1個のコンセントボックス大の穴では実験したそうですが、コンセントが密集する部分では、穴は当然大きくなり、危険性がどんどん上がっていきます。
第一・・気密コンセントボックスを削ってコストダウンしているような姿勢の会社が、合板の継ぎ目をテーピングしているとはとても思えません。多分、お客様の気づかれないところで、手抜き工事が多くされていることでしょう。
逆に、その会社の家づくりの姿勢を知るには、いい指標にはなると思います。ポリシートで施工している住宅会社であれば、そこの営業マンに「おたくの工事では、気密コンセントボックスを全ての現場で使っていますか?」と聞いてみればいいのです。
即答で「当然ですよ」と答えられる会社であればいいですが、「現場によります」とか「無くても気にするほどのことでは・・」など曖昧に応える会社は、いろいろな部分で手抜きがあると警戒していいと思います。

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