この章の最後に、「机上の理論」と「現実の現場状況」がどうなのかという写真を見てみましょう。
この写真は青森県のとある住宅です。
新住協の基本技術に従って施工された高断熱高気密住宅ですが、築7年目にして増築をすることとなりました。ちょうど世間では、防湿シートを張る家づくりについて懐疑的な意見をいう評論家の方も増えていた時期だったため、検証するのにちょうど良い物件になりました。
こういう実証は、写真を撮る際の細工でいくらでもねつ造できます。そのため、本来はノンストップビデオが正しいです。新住協には、この写真の作業(外壁外し~含水率測定まで)のノンストップビデオがきちんとありますが、この場では、写真でご紹介いたします。
1 外壁を外すと通気層と防風透湿シート(通称タイベック)が出てきます。
2 構造用合板をはがして、断熱材が見えてきます。
3 取り出した断熱材は、腰があってきちんと立ちます。
4 断熱材をはがすと、木材も全く腐食の跡がありません。
5 木材の含水率は・・なんと13%!
極寒の地で建築され、7年も経った壁の中とは思えない状況です。
木材はきちんと適切な吸放湿(呼吸?)を行い、過度な生活水蒸気の侵入もないため、13%という乾燥状態を保っております。極寒の地で7年間経ってこういう状況ですので、2年後~3年後に腐るということは当然ありません。多分、防湿シートの効果がなくなる80年~100年は、こういう構造材の乾燥状態が続くものと思われます。
この実証写真で、「正しい理論で施工された防湿シートを使った工法」の誤解が解けることを願います。