北上事務所
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木の香の家

価格について

住宅の価格とは

はじめに

このコーナーは、単に住宅会社の価格に関する暴露話ではありません。
私は、今まで住宅業界で家づくりをしてきて、多くのお客さま、大手・中小を含む多くの住宅会社さん、協力業者さんと接してきました。その中で楽しい家づくりの話もときどき聞きますが、悲惨な家づくりの話は何故か多く聞いてきました。また、経験したこともあります。その原因は、いったい何なのでしょうか?
表面的な原因はいくらでもあります。しかし、多くの場合、次のことが根本の原因であると感じております。それは、住宅の価格に対する考え方が、お客さまと住宅会社の間で大きくずれていることです。多くの方に、家づくりのトラブルに巻き込まれてほしくありません。そのための大ざっぱな知識として、このコーナーを読んでいただければ幸いです。

価格と経費について

仮に住宅の見積もりが2000万円で出てきたとします。住宅会社は、いったいいくらの利益(経費)を頂いているのでしょう?ほとんどのお客さまは、「住宅会社が2000万円儲けている」...そのように思うのではないでしょうか?しかし、現実は違います。住宅業界には、利益率(経費率)にほぼ住み分けが出来ております。この経費率は全て製造原価からの率です(営業原価からですと数値が違ってきます)。

  • 大手ハウスメーカーさん :利益率(経費率)販売価格の35~50%
  • 中小のハウスメーカーさん:利益率(経費率)販売価格の20~28%
  • 自分で現場に出る大工工務店さん:利益率(経費率)販売価格の15%前後

これが住宅業界のおおよその住み分けです。それ以外のお金は、大工さん、建材屋さん、基礎屋さん、建具屋さん、塗装屋さん、足場屋さん、電気屋さん、設備屋さんなどへ支払われます。「下請けに丸投げしているのか!!」と思われた方もいるかと思います。そうではありません。

住宅は、その住宅会社ごとに、構造や工法、性能、設備の配管方法、電気の配線方法が違います。いつも付き合っている協力業者さんに、その住宅会社の施工方法を実行してもらうマネージメントをしているのです。そして、性能や品質を一定レベル以上に保つように管理するマネージメント料が経費の一部ということになります。その他にも、宣伝費や、展示場費、組織を維持する人件費なども経費の中に含まれます。簡単に言いますと、その会社が存続するための金額が経費となります。

例えば、同じ2000万円の住宅であれば、

  • 大手ハウスメーカーさんは700~1000万円を会社運営のための経費とし、
  • 中小ハウスメーカーさんは400万~560万円を会社運営のための経費とし、
  • 大工工務店さんは、300万円前後を会社運営のための経費とします。

言い方を変えますと、原価1000万円の建物を、各社は次のような価格で販売します。

仮に利益率25%という会社ですと、工事原価に1.33を掛けます。
1000×1.33=1330万円、330万円は1330万円の約25%となります。
25と33の数値の違いは、なにか不思議な感じがしますよね(^^;)

  • 大手ハウスメーカーさん :1540万~2000万円
  • 中小ハウスメーカーさん :1250万~1400万円
  • 大工工務店さん     :1180万円前後

もちろん、建材の仕入れ価格などが違いますので、同じ内容で原価が同じというわけではありません。大量生産していれば、建材の仕入れは安くなります。ただ、バブルの頃とは違い、最近は建材仕入れの差は、ごくごく僅かになってきています。大工工務店さんでも、衛生機器は定価の40~50%くらいでは仕入れていると思います。(衛生機器メーカーによっては、35%前後で入る商品もあります。)これは、大手ハウスメーカーさんと比較しても、大きい差はありません。

価格の決まり方

建物の金額 = 「木材・建材費」+「作業員の人件費」+「経費(利益)」
―この事実は曲げられません―

例えば、坪単価29.8万円でも、坪単価33万円、坪単価45万円でも、会社は約25%前後の利益を上げています。29.8万円は、決して魔法を使っているわけではありません。

例えば、坪30万円前後の住宅の内容は、大ざっぱに言うとこんな感じです。

  1. ① 総2階建てであること
  2. ② 坪数(面積)を大きく限定してあること
  3. ③ 建具が少ないこと
  4. ④ 間仕切り壁が少ないこと
  5. ⑤ 天井が水平であること
  6. ⑥ いろいろなもの(照明・換気扇)がオプションであること
  7. ⑦ あとは、外壁の角に出隅役物を使わずコーキングだけで処理したり、断熱サッシが空気層6mm、断熱材が薄いなど、目に見えにくい部分で仕様が抑えられている
  8. ⑧ なんといってもメーターモジュール

何故、そうすると坪単価が下がるのでしょう?
③~⑦については、簡単に理解できると思います。

①の理由は、こうです。
同じ40坪の建物の場合、「基礎」と「屋根」の面積が最も少ないのが総2階です。さらに、単純な形状の建物は作業効率が良いため、1坪あたりの大工さんの作業人工が少なく済み、結果として安くなります。逆の理由で、平屋は「基礎」と「屋根」の面積が大きいためコストUPとなります。

②の理由は、こうです。
坪単価と言いましても、浴室やキッチンなどの水まわりは、それらの衛生機器や設備配管などを含めますと、その部分だけで坪100万円以上かかっています。しかし、単なるフロア部分は坪20~25万円前後で出来ます。つまり、面積が多くなりますと、基本的にはフロア部分が増えます。結果として坪単価は下がるということです。
簡単に言いますと、同じ仕上げの仕様であれば、40坪と50坪では、必ず50坪の方が坪単価は安く算出されます。そのため、提示している坪単価は、おおよそ40坪以上を目安に設定しており、面積が30坪になりますと、坪単価は上がっていきます。また、同じ坪単価でユニットバス2台は付けることができません。また、坪単価をさらに安く表現している商品は、「45坪以上限定」とか「50坪以上限定」と記してあります。

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