北上事務所
0197-65-7439
お問い合わせフォーム

木の香の家

木の香の家 新展示場建築物語
TOP > 木の香の家 新展示場建築物語 > 木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語  第21話:着工前1週間の変化

木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語  第21話:着工前1週間の変化

第21話:着工前1週間の変化

 

 パッシブハウス認定は、どうやっても無理と言われ、腑抜け状態でお墓参りと鎌田先生へのお詫び行脚をしたのは、着工まで1週間と迫っていた時期でした。

 

 それでも取得の方法は2つありました。

 

〇 1つは、壁厚700㎜にして3階建てにする。

 

〇もう1つは、昨今大騒ぎになっている数値の改ざんです。

 

 前者は技術的に頑張る意味が薄いし、

後者は、ちょうど先週の全国ニュースにもなっている三菱車の燃費改ざんと同じように、

1回やってしまうと、私の家づくりの過去のものまで信用を落としかねないので姿勢としてやりたくない。

 


 そういうことを考え、パッシブハウス認定取得はきっぱり諦めることを鎌田先生に報告しました。

 

 
 鎌田先生は、「北上ってそんなに日射量悪かったっけ?クーラーさんデーター間違ってるんじゃないの?」とは言いつつも、

「ここまでやって無理なんだったら、もう諦めよ」・・とあっさりでした(^^;)。

 

 そこからが先生の切り替えは迅速でした。

 

 鎌田先生 「だったら、今まで諦めていたのを家づくりに戻したら。

バルコニーもびゅ~っと付けたらいいさ」

 

 私 「確かにそうだ。バルコニーも小庇も無くしたから、夏に死にそうなくらい暑くなると思っていたし、

布団を干すこともできるようになるので、その方が快適で使いやすい家になりますね。」

 1階の夏の日射遮蔽にも都合よかったので、1.2mの奥行きで東から西まで長〜くバルコニーを再設置しました(下図オレンジの部分)。

バルコニー再設置.jpg2階から景色のいい外にも出れるので、いろいろと生活イメージが楽しくなってきました(^^)

 

 

 


 鎌田先生 「あとさァ・・こんな図面出てきたんだよ・・。

俺が15年くらい前に秋田で設計した家なんだけど、

その当時にこんな基礎断熱やってたんだ・・って、さっき見てたんだよ。」

 

 そう言って、おもむろに古い図面を見せてくれました。

 

 


 私はその図面を見たとき、基礎断熱の施工図より、プランニングの方に目が止まりました。

 

 

 

 私 「先生・・。この図面、面白いですね・・。玄関に入っていきなりサンルームホールですか・・?。

先生ってこんな斬新な設計するんですか・・」

 

 


 私は忘れかけていたものを思い出しました。

 
 当初の設計コンセプトである「家の中に入ったら外?」・・という空間イメージを・・。

初期スケッチ ブログ用1100.jpg 

 


 私が急に目の前が明るくなった感じを覚えました。

 

 

 頭の中で玄関ホールの平面と断面そして南のデッキまでプランニングがぐるぐると回り始めたのです。

 

 私 「先生、このプランニングのこの部分、パクらせてください!。

 
玄関ホールを大きな土間化します。

ついでに玄関ポーチから玄関ホールを通って南の庇まで天井を連続させて外と中の要素を連続させていきます!。


南側もウッドデッキではなく、土間テラスにします。

その方が連続性もありますし、雪で腐食を心配するよりいいので。」

 

 

【 下図:玄関を土間化してそのまま南の庭にも通り抜けれるように変更 】 

玄関ホールサンルーム化.jpg

 

【 下図 : 玄関ポーチの天井羽目板をガラス越しに連続させて、

玄関内部の土間天井・・そのまま南のテラスまで天井を連続させるイメージ図 オレンジの部分】

玄関ホール断面.jpg

   

 先生「今から間に合うの?断熱型枠も鉄筋も加工始めてるんじゃないの?」

 

 私「そこも確かめますが、とりあえず図面化して明日にも送りますので、基礎の地中梁の構造計算も調整お願いします!」

 


 
私は、居ても立ってもいられず、とりあえず、図面の修正予定ポイントを先生に説明して、仙台から北上へと車を走らせました。

 

道中、型枠断熱の変更と鉄筋加工の変更を伝えて、

頭の中ではプランの変更部分をどんどん膨らませていました。

 


だんだん楽しくて使いやすい家になっていく感覚を覚えました。

 

 


 パッシブハウス認定がNGと言われたことについては、人生を通しての本当の答えは見えていませんが、パッシブハウスがNGとされたことで、こんなに家づくりが面白い方向に進めるのか・・という感覚を覚えたことは確かでした。

 

 よく鎌田先生が口にする 「無暖房住宅が世の中に10軒あるより、燃費半分で暮らせるキューワン住宅が1000軒あったほうが、環境のためになるよ」 ということも体感として理解できました。

 


 パッシブハウスも無暖房住宅も、コストが掛かり過ぎる印象があり、一般のほとんどの方が建てられません。

 

 それよりも、手の届く高性能住宅を提供したほうがいいんだな・・と感じました。


 ちなみに、もし、我が家の最終仕様を壁厚700㎜にしてパッシブハウス認定を取ろうとしますと、キューペックス計算上で暖房負荷4.9kwh/㎡となります(確かに目標としていた5.0をクリアします)。

   Q-PEX 壁厚700比較.jpg

 

 

 しかし、視点を変えると1年間の暖房用灯油消費量は119リットルとなります。


それまでの197リットル灯油が119リットルとなるので、約80リットルの灯油節約です。

 

1リットル100円であれば8,000円・・1リットルが昨今の50円であれば4,000円・・1年間に節約なるのです。

1年間で4000円~8,000円節約するために掛かる工事アップは、数百万円となります。

 

 


 そういう視点からも、単に超高性能な家を提供するのではなく、

手の届く範囲で出来るだけの高性能な家を世の中に増やすことが大切なのだな・・と感じました。

 

こうやって、ある意味 足枷が無くなった私は、

短期間のうちに図面をガラガラと変えて着工に向かうのでした。

  

 

つづく

 

 


【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】

 

 

 

 

Posted at: 2016.5.15(日)

« 前の記事へ  |  記事一覧  |  後の記事へ »